「ライフ」実験レポート2
- chirico
- 2019年4月30日
- 読了時間: 3分
今回の美術に関するキーフレーズの話です。
「もったいない」という日本語を世界に広めたのは、2004年にノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイ氏です。彼女の提唱したMOTTAINAIはいいイメージで伝えられました。
でも、彼女の「もったいない」と、私の知っている「もったいない」とは何が違うんだろう。
そう思ったのがこのフレーズを選んだきっかけでした。
香川県は貯蓄率が日本一で、節約家というイメージを持たれています。
私も例にもれず、外食、旅行、ショッピングなどはいつも「もったいない」という言葉に支配されているようで、心から楽しんだ記憶はなく、心地のいい言葉ではありませんでした。
「もったいない」の後には行動が続きます。
もったいないから、買わない。
もったいないから、食べてしまう。
もったいないから、取っておく。
もったいないから、使わない。
マイナスの行動しか、思いつきませんでした。
でも「もったいないから、なにか新しいものに変えてみよう。」
その言葉が浮かんだ時、ワクワクしました。
生まれかわる、再生するというのも「ライフ」のひとつではないかしらんと。
「もったいない」はモノだけにとどまりませんでした。
たとえ言葉を発する人の考え方や伝え方が、何十年も変わらなくても、受取る側だけでも変われば、考え方の違う誰かと共存することは出来るんじゃないかなと。
その言葉をどう捉えて作り変えるかで世界の見え方は変わってくるのではないかと。
そう思ったきっかけになりました。
この作品を作っているうちに私の「もったいない」のイメージは変わりました。
今回の美術と衣装の素材は古着や余った布とダンボールです。
けいぴゃんのおもちゃ楽器もアンティークショップやお土産物屋で埃をかぶっていたものを収集したものが殆どで、共通したイメージがあるように思えました。
世界には「もったいない」ものや人で溢れています。
そういうひとやなにかと一緒に、舞台を通して新しいものを作って行きたいな、と思いました。
さらに、「もったいない」が及ぼした影響はもうひとつありました。
「倹約令」「贅沢は敵だ」「欲しがりません、勝つまでは」という封建社会や戦時中の教えにも通じます。
江戸時代には分相応、身分相応という、身分制度を守ろうとする働きもあったそうです。
これ、今どきないやろ、っておもうかもしれません。
でも、未だにこの昭和初期の考えはあります。
この言葉を聞き続けていた私は、とりあえずお金を使うことに罪悪感を持ちました。
そして最終的には愛情を求めることも贅沢だと思うようになっていたようです。
子供の頃の思い込みはとても恐ろしいものです。
愛が贅沢だと思うなんて、とても哀しい。
確かに、素敵な服や豪華な食事をすることに金銭は必要です。
でも、唯一、愛だけは、お金など関係なく無限に人に与えられます。
愛がもったいない、なんてさみしい。
この物語はまた別の機会に創らなくちゃいけないな、と思いました。




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